再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

バーのカクテルは、どれも六百円。
美味しいから、いろんな種類を飲んでみたくなる。

私はスクリュードライバーを飲みつつ、朔斗さんと話をしていた。
朔斗さんは、ここのオーナー兼バーテンダーらしい。
パッと見は無口なのかなと思っていたけど、すごく話しやすくて、優しい人だった。
結婚しているとのことで、その証拠に左の薬指には指輪がはめられていた。
会話の端々から、奥さんのことが好きなんだろうなというのが伝わってくる。
気づけば、グラスが空になっていた。

「すみません、シャンディーガフください」

「美桜、顔とか赤くなってないか?」

パスタを食べ終えたテツが、眉を寄せながら尋ねてきた。

「お酒を飲んだらすぐに顔に出るだけで、全然大丈夫よ」

顔が赤くなっているのは、自覚している。

「シャンディーガフです」

「ありがとうございます」

目の前に置かれた、シャンディーガフのグラスを取ろうとしたとき、テツがそれをそっと取り上げた。

「なにするのよ」

「話があるって言っただろ。これはそのあとだ」

不満はあったけど、本来の目的を思い出して、おとなしく従う。
テツは小さく咳払いし、ポケットからなにかを取り出して、カウンターの上に置いた。

えっ……?

桜の飾りのついたピン。
見覚えがある……これって!
ハッとして、隣に座っているテツを見た。