再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~

ハンドルを握るテツを盗み見る。
整った顔立ちに、上質なスーツを身にまとい、明らかにスペックが高そうだ。
おまけに仕事までできそうな雰囲気がして、なんだかムカつく。

しかも、強引な態度にイライラは最高潮で、文句のひとつでも言いたかった。
けれど、車内という密室で険悪な空気になるのも嫌だったので、どうにか気持ちを抑え込む。

これも今日限りだから我慢だ、と何度も自分に言い聞かせていた。

連れてこられたのは、『ダークムーン』というバー。
車は近くのパーキングに停め、少し歩いた先にある店だ。

どうやらテツの行きつけのお店らしく、長身の渋いイケメンと、親しげに挨拶を交わしている。

「こんばんは、朔斗さん」

「哲平くん、いらっしゃい。珍しく今日はひとりじゃないんだな」

「えぇ、まぁ」

「空いている席へどうぞ」

カウンターの左側にはサラリーマンがひとり、お酒を飲んでいた。
テツはカウンターの右端の席に座り、私はその隣に腰を下ろす。

「美桜、なんか飲む?」

「じゃあ、ピーチフィズで」

「つまみ系はいらないのか?」

そう聞かれて迷う。
さっき、お店で残った惣菜を食べたから、そんなにお腹は空いていない。
だからといって、お酒だけっていうのも少し寂しい。
メニューを見て考える。

「レンコンチップスで」

「了解。朔斗さん、ピーチフィズとレンコンチップス、俺は茄子とベーコンのトマトソースパスタと彩り野菜。あと、海老のアヒージョと烏龍茶」

テツは慣れた様子で注文する。