再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~


「少しは運動したら? このまま丸くなったら、歩くより転がる方が速いかもね」

「転がるか……。僕は、みーちゃんと並んで歩きたいからなぁ」

嫌味たっぷりに言われても、おじさんはニコニコ笑っている。

「だったら少しは痩せる努力をして! 太りすぎは身体にも悪いんだから」

「そうだね」

なんだかんだ言いながら、おばさんもおじさんの体のことを心配している、仲良し夫婦だ。

洗い物を終え、濡れた手をタオルで拭いてから、帰り支度をする。
遅番だったから、最後の片付けまでやって、今日の仕事は終了だ。

「お疲れさまでした」

挨拶して裏口のドアを開ける。
建物の横の通路を抜けて表に出ると、店の前に一台の車が停まっているのが目に入った。
シルバーのセダンだ。
きっと、誰かが車内で電話でもしてるんだろう。
そう思い、気にも留めずに歩き出すと、背後で車のドアが開く音が聞こえた。

「美桜」

不意に呼ばれた声に足を止める。
空耳かと思った。
だけど、低くよく通る声には聞き覚えがあった。
まさか、と胸がざわつく。

足音が近づいてきて、恐る恐る振り返ると、長身の男性がゆっくりとこちらに向かってくる。

「っ」

思わず息をのんだ。
その人物は、十日ほど前に弁当の配達先で会ったテツだった。