再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~


安子さんがこの店を利用してくれるようになったきっかけは、息子さんだった。
もともとは息子さんが、うちの弁当や惣菜を気に入り、よく利用してくれていたらしい。

息子さんが、あるときうちの惣菜を持って実家を訪ねた。
安子さんはそこで初めて食べて『美味しい』と気に入ってくれたのだと、パートの梶川さんから聞いた。

それ以来、安子さんは常連になった。
来店すると、パートの人たちと世間話をしたり、旅行のお土産を持ってきてくれたりする。
彼女がやってくるのは、昼の忙しさが落ち着き、夕方の混雑が始まる前の時間帯だ。
今日も十六時を過ぎたころ、ビニール袋をぶら下げて、店の中に入ってきた。

「はい、これ京都土産」

そう言って、お土産の入った袋を私に差し出してきた。

「いいんですか? ありがとうございます」

「安子さん、京都のどこに行かれたんですか?」

「今回は神社やお寺巡りでいろいろ行ったよ」

梶川さんも加わり、話に花を咲かせる。
この時間帯はお客さんもまばらで、こういった話もゆっくり出来る。
パートの人は安子さんと年齢が近いこともあり、話が盛り上がりすぎることがある。
他のお客さんの迷惑にならない程度には、しているみたいだけど。

「安子さん、今日はイワシの蒲焼きがおすすめですよ」

出来上がったイワシの蒲焼きのパックを見せる。