スマホのアラームが鳴り続けている。
寝ぼけたまま手を伸ばし、音の主のスマホを探す。
うっすらと目を開け、画面をタップすると、ようやく音が止まった。
朝か……。
すごく懐かしい夢を見た。
あれは小学生の二年ぐらいの頃かな。
私とテツは、お互いの母親と一緒に花火大会に行った。
そのとき、大きくなったらなにになりたいか、テツに聞かれたんだ。
でも、私はなにも思い付かなくて、分からないと答えた。
テツは『ぼくはすきな子をまもれるような、強くてかっこいい大人になりたいんだ』とか言ってたっけ。
あの時、テツには好きな子がいたみたいだけど、途中で親に呼ばれたから結局誰だったのか聞けずじまいだった。
テツと再会しなければ、こんな夢を見ることはなかっただろう。
はあ、と息を吐く。
ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。
朝の眩しい光が部屋に差し込み、思わず目を細めた。
今日もいい天気だ。
一度、大きく伸びをして、洗面器へ向かった。
顔を洗ったあと、キッチンに立ち朝食の準備をする。
朝食といっても、おにぎりを握り、冷凍していた野菜をコンソメスープの中に放り込むだけの簡単なものだ。
ご飯を食べ終えると、鏡の前で簡単にメイクをして、胸までの髪の毛をひとつにまとめた。
食品を扱うので、常に清潔感を心がけている。
爪も短く切り、『和田さん亭』で働くようになってからは、ネイルは休みの日に楽しむ程度だ。
着替えを済ませ、スニーカーを履いて家を出た。



