再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~


「美桜、弁当屋で働いてるのか?」

普通に話しかけてきて、眉をひそめる。
そんなのはテツに関係ないでしょ、と心の中で文句を言う。
でも、さすがに無視するのは人としてどうかと思い、頷いた。
もうこれ以上、テツと関わりたくない。

「まだ仕事が残っているので失礼します」

テツは配達先の社員なので、丁寧に対応してエレベーターホールへ向かう。

「美桜、ちょっと待って。話があるんだ」

背後から聞こえてきた声に、思わず足を止める。
今さらなんの話があると言うんだろう。

「私は話すことはないですから」

いくら過去のこととはいえ、またテツに傷付けられたくない。

「ほんの少しの時間でいいから話を聞いてくれ。お願いだ」

必死に頼み込む姿を見て、話ぐらいは聞いてみてもいいのかなという気持ちになる。
どうしようかと葛藤していたら、エレベーターのドアが開き、ひとりの男性が降りてくる。

「あれ、鳴海じゃん。こんなところでなにしてるんだ?」

「お疲れさまです。ちょっと知り合いがいたから、話をしてたんです」

「へぇ、弁当屋さんに知り合いか」

そう言って、男性は私に視線を向けてきた。

今の私は、胸元に『和田さん亭』のロゴが入った白のポロシャツを着ている。
お店では、これに白とオレンジのチェックのエプロンと三角巾を合わせているけど、配達の時はそれらを外し、ポロシャツのみ。