クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。

「――っ!?」

突然、私の後頭部に大きな手が回され、グッと強い力で引き寄せられた。

そのままベッドに引きずり込まれるようにして、視界が反転する。

「あ、き……っ!?」

驚く声は、塞がれた唇に飲み込まれた。

さっきの私の、触れるだけのキスとは違う。
熱くて、強引で、息継ぎすら許してくれないような深いキス。
暁の香りと、熱い吐息が私を包み込む。

「んっ……ぁ……っ」

抵抗しようと胸を押した両手は、暁のもう片方の手に簡単に拘束されて、頭の横に縫い留められてしまった。

いつもは理性的な暁からは想像もつかないような、余裕の無い激しいキス。

頭の中が真っ白になって、ただ暁から与えられる熱に溶かされていく。


一一一一どれくらいそうしていただろうか。

不意に拘束が解かれ、唇が離れた。
酸素を求めて肩で息をしながら、潤んだ目で目の前の暁を見上げる。

「あき……っ」

何か言われるのか、キスした事を怒られるのか。
心臓が破裂しそうなほど鳴っている中で、暁の顔を見ると――。

「……もも……一緒にいて……」

目はうっすらと細く開いていて、熱に浮かされたような、ひどく切実で掠れた声で私の名前を呼んだ後、暁は私を腕の中に強く抱きしめたまま、再び静かな寝息を立て始めたのだった。

(……えっ?)

完全に、寝落ちしている。

さっきの強引なキスは、寝ぼけて夢と現実の区別がついていなかったのか、それとも極度の疲労で理性が飛んでいたからなのか。

腕の中にすっぽりと閉じ込められたまま、私は人生最大のパニックを起こしていた。

(何今の…!?なになになにー!!めっちゃ激しかったしえっちだった…!もう!なんなのーー!!!)

その後何とか、暁からの拘束を掻い潜り
逃げるように家を後にした。


――そして翌朝。

家の前でばったり会った暁は、私とキスしたことなど微塵も覚えていないかのように、合宿前のようなツンとした無愛想な態度に戻っていた。

私が「暁!昨日の、なんだったの!」「めっちゃビックリしたんだからね!」等々、何を言っても「は? 何が」「朝からうるさい」と目を合わせてくれない。

(あんなキスしておいて、何事もなかったようにしてるの!? ……ズルい、ズルすぎる!)