クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。


今日もいつも通りに学校から暁の家へ帰り、暁の居ない部屋で1人漫画を読んでいた。

「暁が居ない間も、ももちゃんはうちに帰ってきてね!」と暁ママに言われ、お言葉に甘えてそうさせてもらっていた。ありがたい。

暁が居ない部屋に入って、勝手に寛ぐことなんて今まで何度もある。でも今日は落ち着いて寛いでいられない…

だって、今日は


『おかえり〜!お疲れ様〜!』

暁ママの嬉しそうな声が、1階から聞こえてきた。
そしてゆっくりと、足音が階段を登ってきて、部屋の扉が開かれる。


「暁、おかえり!」

最後に暁に会った時はツンツンされて目も合わせてくれなかったから、私の顔をみたら、またツンとされてしまうかも…とか色々考えてたけど、扉の向こうにいる暁の姿を見たら、そんな事どうでもよくなるくらい暁に会えたのが嬉しくて笑顔で出迎えた。

「…ただいま」

暁はにっと笑い返してくれて、そして少し嬉しそうに目を細める。

(…笑ってくれた!良かった〜嬉しすぎるっっ)

暁が笑ってくれた事に、ホッとした。
それと同時に、画面の中でキラキラしていた暁が今目の前にいるという現実が、一気に押し寄せてくる。

前に会った時より数倍かっこいいし、暁が発光してるのか?と思わせるぐらい、キラキラ輝いて見える。
でもどこか疲れている様子。

そんな暁に私は釘付けだ。
一瞬も目が離せない。



するとドサッと大きなボストンバッグを置いた暁は、上着を脱いで、そしてベルトを外しだし、目の前で着替えを始めた。

「…ひゃっ」

咄嗟に自分の顔を手で覆う。
小さい頃から何度も目にしてきた暁の着替え姿。
何を今更気にしてしまっているんだろう。
焦る自分に戸惑いながら、でも今は見ちゃいけない物のような気がして…でもでも、見たい気持ちもあって。

(私意識しすぎ!こんな反応してたら、ただの変態じゃん…!)

自分でも謎の衝動を抑えきれず、手の隙間からチラッと暁の方を見ると、ズボンを履き替えて、上のトレーナーを脱ごうと手をかけてるところだった。

「…何やってんの」

そこでバチッと暁と目が合い、またぎゅっと顔を覆う。

「暁が、急に着替えだすから…!」

頭の中は、今目にした前より筋肉で引き締まった暁の体の事でいっぱいだ。
そんな事でドキドキしてしまって、本当に自分は変態になってしまったのか…と恥ずかしくなる。

すると顔を覆っていた手を握られて、強引に横に引っ張られた。

「なんで顔真っ赤なの」

着替え終わった暁が、目の前で意地悪そうに笑ってる。
テレビの中で別人みたいに輝いていた暁とは違う、私がよく知っている、いつもの幼なじみの暁だ。

それが少し嬉しくて、暁をまたじっとみつめてしまう。

「……変態」

「ちっ、違うもん!!」

「違くないだろ。俺が着替えてるのみて、赤くなるとかただの変態じゃん」

「…うるさいっ!!」

図星を付かれて大焦り。
握られてた手を振りほどき、暁から距離をとった。

「そもそも、もう高校生なんだしいくら幼なじみでも意識くらいするでしょっ。暁だって私が急に目の前で着替えだしたら絶対びっくりするじゃん!」

焦り過ぎて早口だし、暁の方は見れない。
そんな私の反応が面白かったのか、「ぶっ」と吹き出して笑い「はいはい、分かりました」と言って、ベットにボフッと倒れ込んだ。