クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。


「わっ!!」

「…ちょっ、…」

すると暁の力が急に弱まり、私はその反動で暁に覆い被さるように倒れ込んでしまった。

気がつけば、暁の頭をしっかり抱えこむように、私の胸に抱きしめる様な形になってしまっていた。

(やばい、変な体制になっちゃった)

「ご、ごめん暁っ」

焦ってパッと体を離す。

絶対暁怒るってる…、と思い顔を見ると
そこには、顔を真っ赤にしている暁がいた。

「…っ!」

ビックリして私がジッと見ていると、見られないようにか、自分の顔を隠すように片手で口元を覆い目線をそらされた。

そんな暁をみて、私も頬が熱くなり、胸がきゅーーーーんと音をたてた。


(何!?私に抱きしめられて真っ赤になってる暁、可愛いすぎるんだけど!しかも恥ずかしそうに顔かくしてるっ!!)


「………かわいい」

「…はあ?」

思わず、思っていた事が口から出てしまった。
咄嗟に口を押さえる。
そして私の言葉をきいた暁が、今度は睨みつけてきた。

「ちが、っ…暁が赤くなってるから…、わっ!」

無意味な言い訳を口にしていると、離れていた暁の手がまた私の手首を掴み、暁の方へ強く引き寄せられた。

さっきと逆転して、今度は私が暁の胸に抱えこまれるように抱きしめられている。

しかもそれだけに留まらず、暁の腕が背中に回されてぎゅっと抱きしめられた。


ビックリして、固まってしまう。

(うぅ〜急すぎるよ暁〜。心臓の音ヤバい、暁に聞かれちゃう)

私の心臓はまた、信じられないくらい早く動き出し、体温もどんどん上がっていく。
これ以上抱きしめられていたら、茹で上がってしまう。

そんな事を考えていると、暁が少し離れ私の顔を覗き込んできた。

そして、またさっきみたいに意地悪く笑っている。

「…もも、可愛い」

「…っ!!」

(きゃーーーーーーーーーーーっ!メロい!!死ぬ!!メロすぎて死ぬ!!)

耳元で、くすぐるように言われた甘い言葉。
これ以上ない程ドキドキと暴れる心臓と、体全体の上がりきった熱のせいで、頭が爆発してぷしゅーと音が鳴った気がする。

そして暁は再度またぎゅっと私を抱きしめて、頭をポンポンしてから、体を離した。

「お茶取ってくる」

そう言って、部屋を出ていってしまった。

暁が居なくなった瞬間、限界を迎えた私はヘナヘナとベッドに倒れ込んだ。

こんなの心臓がいくつあっても耐えられない。本当にもうどうにかなってしまいそうだ。

私が触れた事で暁が顔を赤くしていた事、暁から抱きしめられて可愛いと言われた事、無意識に名場面集が脳内リピートさせられ、また悶絶する。

(暁が戻ってきたら、どんな顔してたらいいの…!)

うんうん悶えて、そんな事を考えていると

バタバタバタバタッと階段を駆け上がる音が聞こえてきた。

勢いよく開かれた扉の先には、暁ではなく、凄く慌てた様子の暁ママがいた。


「ももちゃん大変!!暁がオーディション受かった!!」

「……えーーーっ?!」