クソ真面目なアイドルに、幼なじみの一途が重症です。

この日から、私の今までの日常がまた戻ってきた。
でも私と暁の関係は、以前の『ただの幼なじみ』という関係からは、明らかに変わったと思う。


変わった所は2つある。

まず1つ目は、暁が私に対して異常に過保護になったという事。
小さい頃から、そそっかしい私をよく心配して助けてくれる事も度々あったりはしたけど、大輝くんとの1件があってからは、暁は異常なまでの過保護と化していた。

「今日はお昼誰と食べたの? 変な男子とか寄ってきてない?」

「……ひなちゃんと莉子と愛華と中庭で食べたよ。変な人とかも来てない」

「そう。他になんか困ったこととかない? 」

「ないよ。…もう、暁は私のお父さんなの? 私のこと小学生だと思ってるでしょ」

学校で顔を合わせたり、一緒に帰る帰り道。
暁は私の顔を見るたびに「変な男が寄り付いていないか」をチェックするかのように、まるで親のような質問を投げかけてくるようになった。

他の男子をあからさまに睨みつけたり、無理やり間に割って入ったりするような事はなくなったけど、過保護の方向性が変わったというか、より細かく探りを入れてくるようになった。

嫌ではないが、少しめんどくさいと感じてしまっている。
本当に口うるさいお父さんみたいだ。


そして変わった事のもう1つが、私が暁への気持ちを自覚したという事。

自覚してすぐに暁に彼女ができたから、距離を置いていてすっかり忘れていたけど、放課後に暁の部屋で2人っきりになるという時間が毎日やってくる。

その度、私はドキドキしてしまっているのだ。

自覚する前は、暁のベッドに寝転がって漫画を読んだりゲームをしたり、たまに昼寝なんかもして、自分の部屋の様に気楽に過ごしていた。

でも今はそんな事できない。

ベッドの端に座りながら、私は漫画を読んでいるフリをする。
暁の気配やベッドから香ってくる暁の匂いに、ドキドキと心臓がうるさくて、漫画の内容なんか全く頭に入ってこない。

「……おい。何ボーッとしてんだよ」

「っっ!?」

突然、ベッドに座る私の顔のすぐ横に、あきの顔があった。

いつの間にか立ち上がっていたあきが、ベッドに手をつき、私を覗き込むように顔を近づけてきていたのだ。

「ボーッとしてないよ!漫画読んでんの!」

「嘘つけ。マンガ、ずっと同じページ開いてるじゃん」

ニヤリと、意地悪に笑う暁。

そして、彼の手がスッと伸びてきて、私の前髪を軽く引っ張ったり、両頬を手で挟みムニムニしてくる。

(なになになに!?急に触ってくるのなにー!!)

内心大パニックだが、暁に触れられる事は嫌じゃないとも思ってしまう。
むしろ、嬉しい。絶対に言わないけど。

されるがままになっていると、飽きたのか私の隣に寝そべった。

そして、

「…ひゃっ!」

私の脇腹あたりを突っついてきた。
びっくりして変な声が出てしまった。
私の反応をみて、暁が笑ってる。

「ちょっ、あき! なにしてんの!」

「いや目の前にあったから」

「何言ってんの!意味わからん!」

「というか、もも痩せすぎじゃない?」

そういいながら、起き上がった暁は私の後ろに回り込み、今度は両脇腹を両手で挟むように掴まれた。

「ひゃっっ!」

また変な声がでて、思わず手で口を塞ぐ。
くすぐったさと恥ずかしさと、暁に触れられてる事で、私の心臓が悲鳴をあげている。
暁はさっきから何やってるんだ、本当に。