「あーースカッとした!」
「ももちゃんの幼なじみイケメンすぎじゃない?」
「これで変な噂もなくなるね。良かったね、ももちゃん」
暁が居なくなって、見物していた生徒たちも解散していくなか、私はびっくりしすぎて、動けずにいた。
あの、普段優しくてみんなの人気者の暁が、なりふり構わず私の事で怒ってくれていた。
昨日『俺がもっと止めていたら…』と震えていた暁。
その暁とはまた違う、冷たく静かに圧をかけて怒っている暁の姿が、また更に私の胸の奥をぎゅっとさせる。
まるで暁にとって、私が『特別』なんじゃないかと勘違いさせられるから。
「ももちゃん?」
「あ、ごめんね。行こっか」
友達に手をひかれ、私たちもその場から離れた。
そしてその日の放課後。
大輝くんから『ごめん』とLINEがきて、そのまま別れる話になり、この一件は幕を閉じたのだった。
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そしてその日を境に、暁の様子がおかしくなった。
放課後の下駄箱で、私がクラスの男子から「神谷さん、一緒に帰ろ」と話しかけられた時。
いつの間にか私の後ろに立っていて「こいつ俺と帰るから」と眉間にシワを寄せてジローッとその男子を睨みつけていた。
もちろん男子は「す、すいません!!」と去っていく。
「暁!なんで睨むの!怖がってたじゃん!」
「……帰るぞ」
「もう!聞いてる!?」
それから別の日。
昼休みに中庭で友達とお弁当を食べようとしていた時の事。上級生の男子たち(暁と同じ学年)から「俺らも一緒に食べていい?」と話しかけられていると、何処からともなく暁がやってきて「じゃあ俺も」と私が座っている隣を陣取ってきた。
みんながギョッとびっくりした顔で暁を見てる。
でもすぐに「暁が彼女以外と飯食うの久々じゃね?」「暁今日弁当?なんか一口ちょーだい」と、先輩男子たちは暁がいる事を歓迎している様子。さすがは人気物。
でも、あれもこれも全て、明らかに私に近づく男子たちを牽制する為の行動にしか見えない。
さすがに過保護がすぎる。
移動教室で廊下を歩いててる時も「あ、神谷さんプリント落ちたよ」「ごめん、ありがとう」と後ろを歩いていたクラスの男子にプリントを拾ってもらって笑顔でそれを受け取っていると、背中にスッと寒気を感じる。
振り向けば、廊下の先の方で暁がこちらをジッと睨みつけていた。
「え、なんか早瀬先輩めっちゃこっち睨んでない…?」
「先輩、ももちゃんが他の男子と話してると絶対ガン見してくるよね」
「大輝くんのことがあってから、心配なんだろうね」
友達からも『ももちゃんが心配で仕方ない早瀬先輩』という風に、暁の過保護っぷりが話題になっていた。
そんな暁の『圧力』のせいで、私に近づく男子はパッタリといなくなった。
そしてその暁のおかしな様子に、いつも傍で見ていた彼女さんが違和感を抱くのには、そう時間はかからなかった。
