春になると記憶が欠ける

 いつものデートは近所の散歩。
隣を歩いているだけで、すっごく幸せだ。
今日は図書館まで歩く。
春なのに、とっても暑い。
「暑いー、疲れた」
「ええ、春ちゃんやっぱり体力ないよね。」
馬鹿にするような言葉。それすら嬉しく感じてしまうほど、私は朝陽が大好きだ。
考えていると、すぐに着いた。その図書館は、少しくらい照明。
朝陽は、椅子で待っていてくれた。私が借りたい本が決まるまで。
「朝陽くん!これにする!」
「よし、じゃあ行こっか。」
そう言って図書館を後にした。
帰り道もとっても暑い。汗が滴り落ちてくる。
横を見ると、びっしょりの朝陽がいた。
ふたりでお腹を抱えて笑う。
「朝陽くん汗やばいね。」
「まあね?かっこいいでしょ。」
「うーん、どうだろう。」
え…?見た事のある車…。
車が目の前にとまる。窓が空いてなかを見ると、母だった。
「春ちゃん!なにしてるの?乗ってくる?」
偶然通りかかった母が、乗せてくれようとしていた。
外はとっても暑い。ありがたく、乗せてもらうことにした。
「あのさ、春ちゃん。」
「なあに?」
「その人、誰…?」
鳥肌が立った。朝陽のことは何度も話しているのに。
「朝陽だよ…?ママ、知っているよね…?」
「ママは、朝陽なんて人、知らない…。」
驚いて朝陽に助けを求めたかった。朝日の方に目をやると、違和感を覚えた。
「え…?」
普段は礼儀正しい朝陽が、足を組んで背もたれに寄りかかっていた。険しい顔をしていた。
何が起きているのだろうか。
ママは、何を考えているの?