紺桔梗の転調






「宮ちゃん、どっかこの辺で美味しいケーキ屋さん知ってる?」

「ケーキ?」

「宮ちゃん、甘いもの好きでしょ。明日、土曜日、仁志(にし)君誕生日でね。どっかでケーキ買って遊びに行こうかって考えてるんだ。一方的に」

 高井君が口にした仁志(にし)君とは、同じ学部の学生である。ほぼ関わりのない、というか入学後一言も話したことはない。

 彼は高井君と対照的にクールな性格で、外見がとても美しいイメージだ。

 仁志君はスラリと背が高い。肌が白く黒い髪の毛が風でサラサラ揺れる。カッコ良いっていうよりは、中性的なモデルさんっぽい。綺麗な彼を纏う、温度の低く静かな空気感も相まって、仁志曜汰(にしようた)って人物が洗練されるのだ。

 まぁ私は高井君と一緒にいるな、くらいの表面的なことしか知らないけど。