「この間、食堂行った時になくなったって話したじゃん、新しいの買ったんよ。傘忘れてくる人、誰でも横に並べる大きさでしょ」
高井君はよく笑う。まるで伸び伸びと自由に咲く、色が濃い大きなお花みたいな人だ。そんな高井君と、先月の春の文化祭を機に親しくなった。私が所属する“紅茶愛好会”のブースに、ふらっと高井君が紅茶を飲みに来たのがきっかけだった。
北門を潜り、一本道を歩く。右に立つ高井君の奥に、等間隔に植る木々の葉が、雨で黒く濡れる。高井君が近くにいると、そういうのがあんまり気にならなくなる。眩しい友人だ。
広い二号館と食堂がある大きな建物の先へ、左手の中庭を過ぎ、目指すは大学の中心に位置する五号館。私の所属する学部は、1日の殆どの講義をこの五号館で受ける。
前方で複数の色とりどりの傘が、人の歩くリズムで、不揃いに揺れる。
そういえば。
