女神アフディーと透明な子

 アテーネは、胸に宿ったその不思議な感情に戸惑いながらも、静かに夜空を見上げました。

 心を持たないはずの神の胸を揺さぶったのは、メデューサの言葉だけではありません。

 何よりも、己の命の危険を顧みず、大切な妹を身を挺して庇ってくれた、あの小さなユニコーンへの激しい感謝の念でした。

 彼の純粋な気持ちがあったからこそ、周りの者へと、心を揺れ動かした。

 妹アフディーに新たな『愛』の形を足えてくれた。
 それは巡り巡って、この私にも、と。

 知恵と戦略の女神である彼女は、最後までアフディーたちの前にその姿を現すことはしませんでした。

 けれど、アテーネは無言のまま、その手に宿る神聖な光をそっと夜空へと掲げます。

 あの勇敢なユニコーンに、最大の敬意と感謝の意を表すために。

「お前のその勇気と、曇りなき魂を、永遠の光として称えよう」

 アテーネの祈りに応えるように、夜空の片隅で、新しく小さな星々が息を吹き込まれたように瞬き始めました。

 それは、すでに夜空を駆けていた「ペガサス座」のすぐ隣。

 寄り添うように生まれた、とても小さな、けれど優しく気高い光の集まり——「こうま座」でした。