海龍〜俺達の姫〜

雨が降っていた

空は暗く、冷たい風が頬を刺す

制服は濡れ、髪も張り付いていた

それでも、水無都 芹羽(みなせ せりは)は
足を止めなかった

止まったら、全部壊れてしまいそうだったから

芹羽「……」

頭の中では、さっきの言葉が何度も繰り返される

女子A「最低」

女子B「やっぱ暴力女じゃん」

教師「水無都、お前には失望した」

芹羽は唇を噛む

違う

最初は、ただ守りたかっただけだった

虐められていた友達を庇った

代わりに、自分が標的になった

机は汚される

靴は隠される

陰口を叩かれる

それでも耐えていた

“あの子が笑えるなら”

そう思っていたから