世界で一番、近くて遠い推しとの恋

そう言い切ってしまうやよくん。
違う、違うよやよくん。
碧くんは私のこと大好きなんかじゃないんだよ。
「で、でもっ・・・別れる時すごい淡白っていうか・・・。謝ってくれたけど、『前から言おうと思ってた』って・・・」
思わずそう言うと、やよくんは頭が痛いと言わんばかりに眉間を押さえ、ため息を吐いた。
それは、なんだか碧くんに対する呆れのように感じた。
「ごめんね、ねお。今はあいつも考えたい時期なんだと思う。俺がどうにかするから、ちょっと待ってて」
考えたい時期・・・。
それはそうだろう、だってもうすぐデビューなんだから。
デビューするということは、活動が本格的にるということ。
・・・あ、そっか。
彼女がいるアイドルなんて、駄目だもんね。
スキャンダルだ。
碧くんの汚点になるんだ。
碧くんの夢の邪魔に・・・足手まといになっちゃから、・・・そうだよね。
デビュー時から彼女がいるアイドルなんて、誰が推したいのか。
私、なんて頭が悪いんだろう・・・。
「碧は間違いなくねおのことが好き。というか愛してるでも軽いと思うくらいだよ。だから、俺を信じて」
私の考えは間違っていないはずだ。
でも、真剣な目でそう言ってくるやよくんを信じたくなる。
あぁ、私、全然諦めきれないなぁ。
もう、碧くんに染まっちゃってるんだ。
「ねお、大丈夫だよ。碧とはちゃんと話す。ここにも毎日通うようにするから、話は聞かせて。1人で抱え込んでほしくない」
「やよくん・・・」
なんでだろうなぁ。
目の前にこんなに優しくてカッコいい人がいるのに、ドキドキしない。
碧くんには、顔を見るだけでドキドキするのになぁ。
私、もう碧くんがいないとだめなのかな・・・。
そんな重い感情を持ってるから、捨てられちゃったのかなぁ。
「俺はねおのことすっごい大切だから。ずっとFrooveの傍にいてほしいって思ってるし、離れて行かないで欲しい。碧にはねおしかいないよ。お願いだから・・・待っててほしいんだ」
いつもクールな顔をしてるのに、優しく縋るような目できてくるやよくん。
やよくんが言うなら・・・ちょっとだけ、信じてみてもいいかな。
復縁できるなんて思ってないけど・・・碧くんが別れたと思った理由くらいは聞けるのかな。
「明日は仕事無いから、今日はここにいるよ。適当にソファー使わせてもらっていい?話したいことがあればいつでも聞くから、深夜でも早朝でも起こして。あ、お風呂はもう入ってるから大丈夫」
・・・ふふ。
やっぱり、やよくんは優しいなぁ。
その優しさに惚れ込んで、やよくんを好きになれてたら・・・よかったのかな。
いや、そうは思えない。
私はきっと、どんな出会いかたをしても、碧くんのことを好きになっただろうから。