メンバーがモニターの前で楽しそうに話してる間、俺は1人だけ先に楽屋に戻らせてもらった。
メイクを落とすために、もうすぐメンバーも帰ってくるだろう。
さっきのモニターの写真を思い出し、目頭が熱くなった。
大好きな彼女を振ったのに。
なんであんなに、アイドルみたいな笑顔を浮かべられるんだよ・・・。
ドアに背を向ける形で机に肘を立て、うつむく。
するとなぜか音桜のことをたくさん思い出してしまった。
音桜の口癖は、『碧くんなら大丈夫!』だ。
根拠もないその言葉。
きっとほかの人に言われたら『なにも知らないくせに』と思うはずなのに、音桜に言われたら不思議で、ほんとに大丈夫な気がしていた。
そうだ。
俺が弱気になった時も、無理に立たせることなく、背中をさすってくれていた。
俺を理解してくれていたからだ。
どんな行動をしたら俺がどう感じるのか、ちゃんと音桜はわかっていた。
バカみたいな自惚れのはずなのに、音桜だったら『私が碧くんのこと理解してる?当たり前じゃん!』と何でもないことのように、明るく笑ってくれそうな気がした。
惚れすぎだろ・・・。
手放したことは、翌日である今日すでに後悔していた。
だから、音桜。
この後悔がなくなるくらい、いいやつと幸せになってほしい。
・・・自分を振ったやつの後悔を取り除こうなんて、思わないか。
でも、音桜なら・・・と思ってしまう自分に嘲笑が浮かぶ。
ただ、かみしめていた唇の間から漏れたのは、笑い声ではなく、嗚咽だった。
「うっ・・・、ふ」
はぁ、なに泣いてんだよ。
ふざけんな・・・俺はこんなに中途半端で情けない男だったのか。
「ね、お・・・」
あぁ、止まれって。
しゃべんなよ。
その汚い口で、あいつの名前を呼ぶな。
「ごめ・・・っ、ねお、ごめ、ん・・・」
やめろよ・・・。
別れた後くらい、吹っ切れたらよかったのに。
なんで好きになるのをやめられないんだ・・・。
「ごめん、ごめ・・・ごめん、っね、おう・・・っ」
縋るようにしか彼女の名前を呼べない。
最後まで、音桜にとって『かっこいい彼氏』でいたかったのに。
覚悟を決めきれない俺のせいで、音桜を傷つけたのだ。
──コンコン
肩がびくりとはねた。
誰かはわからないが、ノックをしてくれたことに感謝する。
急いで近くにあったティッシュで涙を拭き、鏡で目が腫れていないことを確認して「はい」と返事をする。
入ってきたのはメンバー4人と、メイクさんだった。
「碧、先帰ったけどなんかあった?」
気づかわし気な翠に訊かれ、首を横に振る。
「緊張して。・・・メイク落とします?」
後ろにいたメイクさんに訊くと、韓国でメイクを勉強していたというさわやかな男性は笑顔でうなずいた。
俺はアイドルだ。
自分勝手な理由で、彼女を捨てた、最低なアイドルだ。
これを胸に刻み込んで生きていかないと、駄目な気がした。
〈Side 碧李 End〉
メイクを落とすために、もうすぐメンバーも帰ってくるだろう。
さっきのモニターの写真を思い出し、目頭が熱くなった。
大好きな彼女を振ったのに。
なんであんなに、アイドルみたいな笑顔を浮かべられるんだよ・・・。
ドアに背を向ける形で机に肘を立て、うつむく。
するとなぜか音桜のことをたくさん思い出してしまった。
音桜の口癖は、『碧くんなら大丈夫!』だ。
根拠もないその言葉。
きっとほかの人に言われたら『なにも知らないくせに』と思うはずなのに、音桜に言われたら不思議で、ほんとに大丈夫な気がしていた。
そうだ。
俺が弱気になった時も、無理に立たせることなく、背中をさすってくれていた。
俺を理解してくれていたからだ。
どんな行動をしたら俺がどう感じるのか、ちゃんと音桜はわかっていた。
バカみたいな自惚れのはずなのに、音桜だったら『私が碧くんのこと理解してる?当たり前じゃん!』と何でもないことのように、明るく笑ってくれそうな気がした。
惚れすぎだろ・・・。
手放したことは、翌日である今日すでに後悔していた。
だから、音桜。
この後悔がなくなるくらい、いいやつと幸せになってほしい。
・・・自分を振ったやつの後悔を取り除こうなんて、思わないか。
でも、音桜なら・・・と思ってしまう自分に嘲笑が浮かぶ。
ただ、かみしめていた唇の間から漏れたのは、笑い声ではなく、嗚咽だった。
「うっ・・・、ふ」
はぁ、なに泣いてんだよ。
ふざけんな・・・俺はこんなに中途半端で情けない男だったのか。
「ね、お・・・」
あぁ、止まれって。
しゃべんなよ。
その汚い口で、あいつの名前を呼ぶな。
「ごめ・・・っ、ねお、ごめ、ん・・・」
やめろよ・・・。
別れた後くらい、吹っ切れたらよかったのに。
なんで好きになるのをやめられないんだ・・・。
「ごめん、ごめ・・・ごめん、っね、おう・・・っ」
縋るようにしか彼女の名前を呼べない。
最後まで、音桜にとって『かっこいい彼氏』でいたかったのに。
覚悟を決めきれない俺のせいで、音桜を傷つけたのだ。
──コンコン
肩がびくりとはねた。
誰かはわからないが、ノックをしてくれたことに感謝する。
急いで近くにあったティッシュで涙を拭き、鏡で目が腫れていないことを確認して「はい」と返事をする。
入ってきたのはメンバー4人と、メイクさんだった。
「碧、先帰ったけどなんかあった?」
気づかわし気な翠に訊かれ、首を横に振る。
「緊張して。・・・メイク落とします?」
後ろにいたメイクさんに訊くと、韓国でメイクを勉強していたというさわやかな男性は笑顔でうなずいた。
俺はアイドルだ。
自分勝手な理由で、彼女を捨てた、最低なアイドルだ。
これを胸に刻み込んで生きていかないと、駄目な気がした。
〈Side 碧李 End〉

