静かになったせいか、隣からの話し声がはっきりと聞こえてきた。
『あぁ、避妊してたのに、まさかの失敗。向こうの親にバレておろさせることも出来なかった』
聞き覚えのある声に、胸がザワザワしだす。
『転校生だった子?』
『違うだろ。一つ下の可愛い子だろ⁈遼に本気になってグイグイきてたもんな』
友人らは、それぞれに思い当たる人物をあげているらしい。
『菜穂は、家の片付けやご飯はうまいけど…抱いててもつまんなかったからな…彼女の方が刺激的で…遊ぶのに丁度よかったのに、妊娠だ。狙ってた西園寺も結婚するらしいし、俺の人生詰んだ』
あー、そうだったんだ。
口数が少なかったのは、話す価値もないセフレだったからだ。
遼にとって私は家政婦で、気が向いた時の性欲処理だったと知ったが、悲しみよりも、妙に納得する自分に笑えた。
『遊んでいた女を妊娠させるなんて、バカだな。まぁ、元気出せ』
隣にいる蓮が、ワナワナと肩を震わせていく。
『アイツ…』
蓮は友人だと思っている男のクズさに、ムカついているようだ。
意外と冷静な私は、今にも隣に乗り込んで行きそうな蓮の腕を掴み、首を左右に振って(大丈夫だから)と唇を動かす。
彼氏だと信じていた男の言葉を盗み聞きし、信じていた全てが崩れていった。



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