夜の風景



第1話 – 3ページ目:教室と嘲笑


英語の授業、その日最後のチャイムが鳴る前のことだった。


夕暮れの光が薄いカーテンを透過し、机の上に明るい線を描いている。

教科書は半分ほど開かれたまま、教室には紙の擦れる音だけが静かに響いていた。


ミヤは中央の列、数人のクラスメイトに囲まれた席に座っていた。

うつむき、黙々と問題用紙に向かっている。


突然、教室の後方から声が上がった。


「ミヤちゃん…今日もそのプライド、学校まで持ってきたの?」


くすくすと、数人の笑い声が漏れる。


声の主はハルキ。髪を染めた少年で、その笑顔にはいつも嘲笑の匂いが混じっていた。


ミヤは何の反応も示さなかった。顔すら上げない。

まるで、何も聞こえていないかのように。


ハルキは身を乗り出し、声を張り上げた。


「どうしたんだよ、ミヤさん?今日も答える気分になれないのか?」

「まさか——昨日、お父さんのところに泣きに行ってきたんじゃないのか?『みんなが私をいじめるの』ってな。」


教室に笑い声が広がる。しかし、黙り込む者もいた。


ミヤは深く息を吸った。


ペンをそっと机の上に置き、椅子にもたれる。

ゆっくりと、ハルキの方へ顔を向けた。


「私をからかってるの?」

「…わかった。」


一瞬の間。


「好きにすればいい。」


その瞳は、わずかに冷たさを帯びていた。しかし、怒りはそこになかった。


「でも、一つだけわかっておいて、ハルキ。」

「ここは学校だ。」

「サーカスじゃない。」


ハルキはうつむいた。

手をポケットに突っ込み、足を止めた。

その顔は赤くなっていた——何と言っていいかわからない者のように。


教室に静寂が訪れた。教師さえも口を開かなかった。


ミヤは再びペンを手に取り、何事もなかったかのように、淡々と授業へと戻っていった。