おしえて、君のぜんぶ

春だった




桜がひらひらと降ってくる昼下がり。




園庭の隅で俺、天音 翠は腕を組んで立っていた。




「よーし、次おにごっこするやつ!」




「はーい!」




真っ先に手を挙げたのは親友の 涼風 湊斗 。




「おれおにやる!」




「えー絶対やだー!」




後ろから声が飛ぶ。




振り返ると、




帽子をぎゅっと持った俺の双子の妹 天音 瑞生 が半分泣きそうな顔をしていた。




「湊斗くん足はやいもん……」




「だいじょーぶだって!」




湊斗が笑いながら瑞生の頭をわしゃわしゃする。




「みず、すぐ捕まんないじゃん」




「つかまるよぉ……」





「捕まんない」




そう言ったのは、




隣にいた瑞生の親友 七瀬 琉華 だった。




黒髪を揺らしながら、瑞生の手を引く。




「るかがいっしょににげるから」




「……ほんと?」




「ほんと」




すると翠がふっと笑った。




「じゃあ俺、みずき守る係な」




「え、ずる!おれも!」




「湊斗おにじゃん」




「あ」




一瞬静かになって、次の瞬間。




「ばっかじゃねーの!」