「おばあちゃんね、小さいときにお母さんを亡くして、お父さんもあなたぐらいの年で亡くして……すごく苦労したの」
おばあちゃんの過去について、お母さんはかいつまんで話してくれた。
おばあちゃんのお父さん──ひいおじいちゃんは都会まで出稼ぎに出ていたのだけど、火災に巻きこまれて亡くなったのだという。
「おばあちゃんは父子家庭でお父さんは滅多に帰って来なかったからね、家事は全部自分でやらないといけなかったの」
「るつちゃん……」
るつちゃんと似てる。
るつちゃんもお父さんが遠くの街で働いてた。
「あれ? おばあちゃんの名前知ってたの?」
お母さんの声に、私はパズルのピースがはまったような感覚がした。
どうして忘れてたんだろう。おばあちゃんの名前は〝るつ〟──紅咲るつだ。
「るつちゃんは……よくがんばったねって言ってほしかったんだね」



