庭でサルビアが笑ってる




 窓に近よって外を見ると、確かに緑が溢れる庭があってベンチが並んでいた。


 運のいいことに人もいない。



「るつちゃん、せっかくだし行こう」



 私はるつちゃんの手をにぎると、おじいさんに「ありがとうございましたー!」と挨拶をして、病室の外に出た。



「あの、璢音さん……?」



 るつちゃんが困惑してるのがわかる。


 わかるけど、それを無視して庭へと急ぐ。


 るつちゃんが手を振りはらったりしてこないのがありがたかった。


 いったん病院を出て裏に回ると、さっき窓から見た光景が広がっている。


 人もいない。よかった。


 私は近くのベンチにるつちゃんを座らせると、自分も隣りに座った。



「綺麗だね、野ばら」


「え、ええ……そうね」



 この病院の院長が野ばらを好きなのか、目の前には野ばらがいくつも咲きほこっていた。


 童話や絵本の一ページにありそうな風景だ。