庭でサルビアが笑ってる




「……そう」



 るつちゃんの声に、時間がまた動きだした。



「すまない、るつ」


「なにを言うの。お父さんが働いてくれるから暮らしていけるのに」



 そう言うるつちゃんは笑顔だ。


 申し訳なさそうなお父さんを、笑顔でさとしてる。



「すぐ帰れるよう、偉い人に相談してみるから」


「いいのよ、仕事のことだけ考えて」



 るつちゃんは首を横に振る。



「余計なことは考えないで」


「るつちゃん」



 たまらなくなって声をかける。



「この病院、きっと庭があるよ。そこに行ってみない?」


「えっ?」



 驚くるつちゃんを横目に、私はなんとも言えない顔をしているおじいさんに確かめる。



「散歩って言ってましたよね? この病院、庭があるんじゃないですか?」


「へ? あ、ああ……あるよ。すぐそこだ」



 おじいさんは窓の外を指さした。