あれこれ悩みながらも歩いていけば、それだけ病院は近づき──
上品でかわいらしい野ばらと、病院の正門が迫っていた。
ギュウッとるつちゃんが私の手をにぎりしめる感覚がする。
私はその手をにぎり返して、ゆっくりと歩き続けた。
「おや、あんた……」
病院の中に入ろうとしたときだった。
病院着を着たおじいさんが私たちに声をかけてきて、思わず固まってしまった。
そのおじいさんはるつちゃんの顔をじっと見て、「間違いない、そっくりだ」と一人でうんうんとうなずいていた。
「あの、なにか?」
私が緊張しながら話しかけると、おじいさんはニコニコと答えてくれた。
「この子のお父さんと同室なんだ」
「えっ、本当ですか?」
おじいさんはうなずくと、お父さんからるつちゃんの写真を見せてもらっていたのだと説明してくれた。
「ちょうど散歩から帰るとこだったんだ。連れてってあげよう」



