庭でサルビアが笑ってる




 私はお母さんからマスクをもらって、今度は庭にある倉庫に向かった。


 立てつけの悪い引き戸を、ガタガタいわせながらなんとか開ける。


 薄暗く、ホコリなのかカビなのかわからない匂いに戸惑ってる時間はない。



「古くなったなぁ……」



 昔ながらのはたき──竹の先に、裂いた手ぬぐいをつけたもの──が、引き戸のすぐ横にかけられていた。


 ほうきも近くに置かれていたけど、今ははたきが先だ。


 園芸道具が置かれている棚を中心に、パタパタとホコリをはらう。



「あっ」



 ガタンッとけっこう重い音を立てて何かが落ちて、バサバサと紙が散らばる。



「ヤバ、どうしよう?」



 慌てて紙を拾いあつめ、入っていたらしい木箱を確認する。


 ……よかった、壊れてないみたい。


 今度は紙のほうを確かめる。画用紙のような手触りの紙は十枚くらいあって、その全部に絵が描かれていた。