女の子の家があった町は、あっさりと通りすぎてしまった。
やっぱりあの鷽が足止めしてたんだろう。
とにかく女の子の願いが叶ってよかった。
「もうすぐ街よ」
るつちゃんの言葉通り、畑や田んぼだらけだったのに人や家が増えてきた。
もっと進むと、背の高い建物もあちこちに見えてくる。
「あ、路面電車」
「え? ああ、チンチン電車ね」
道を走る小さな電車に、昔乗った路面電車を思い出す。
車が走る中を電車が進んでいくのが面白くて、はしゃぎすぎてお母さんに叱られたっけ……。
「病院は、ここからもう少し行ったところにあるの」
「そっか、できるだけ静かなところに建てたんだね」
「目印もあるのよ」
その目印は野ばらで、病院を囲むように咲いていてそれはもう美しいのだという。
「私もね、サルビアを目印に植えたの」



