それから私たちは、おじいさんと一緒に近所中の家を回ってお願いした。
琴の先生のおじいさんがいる効果は抜群で、「先生がおっしゃるなら……」と女の子の家に集まるために外へと出てきた。
その人数が十数人くらいになると、「そろそろ行きましょう」とるつちゃんが言いだした。
確かに、これ以上は庭に入らないだろう。
「皆さん、こっちです」
私が女の子の家に案内すると、女の子は喜んでくれたけど、お母さんのほうは顔を真っ青にして断ろうとしてきた。
それはそうか、娘は病気で、医者にもかかれないんだもの。
だけどおじいさんが「一曲だけ」と説得して、最後にはしぶしぶだけどうなずいてくれた。
「本当に一曲だけよ」
「ええ、もちろん」
女の子が準備をする間、私たちや近所の人たちは庭でいまか今かと演奏の時間を待っていた。
そして。
綺麗な着物に着替えた女の子が、小さな琴と一緒に現れた。



