「そうだったのか……とても上手いから、いつもここを通るのを楽しみにしていたんだ」
詳しく聞けば、このおじいさんは琴の先生で、ここを通って生徒の家に教えに行ってるということだった。
「あの子が弾いているのは、小さなおもちゃの琴なんです」
「おもちゃの琴であんなに素晴らしい音を出せるのか」
おじいさんは今度は驚くと、ぜひ女の子に会って無料で教えたいとあごをなでた。
「ねぇ、るつちゃん」
私はるつちゃんと顔を見合わせた。るつちゃんも私が言いたいことをわかっているようで、小さくうなずいてくれた。
私たちはおじいさんに向きなおると、深く頭を下げる。
「私たちと一緒に、人を集めてくれませんか?」
戸惑うおじいさんに、女の子が琴を誰かに聞かせたいと言っていたことを話す。
そうするとおじいさんは、快く受け入れてくれた。
「そういうことなら、協力しましょう」



