庭でサルビアが笑ってる




「どうして誰もいないの……?」



 そう。誰もいない。


 それどころか動物もいない。


 これが夜ならまだわかる。でも空は怖いくらい青く澄んでいて、いやでも昼だと理解してしまう。


 それなのに、外には人影ひとつ見かけない。


 明らかにおかしい。



「るつちゃん」



 私はるつちゃんの手をつかむ。



「……同じ場所を、ずっとぐるぐる回っている気がするの」



 るつちゃんは前を見据えたまま、ひとり言のようにつぶやいた。


 ……きっとそれは気のせいじゃない。



「どこかの家に行って聞いてみよう」



 私が提案すると、るつちゃんは凍りついた表情のままうなずいた。



 ──フィー、フィー。



 誰かが口笛を吹くような音がして、私たちは思わずあちこちを見渡した。



「あっ、鷽よ!」


「うそ?」



 るつちゃんが指をさした先には、枝に止まった小鳥が二羽、こっちを向いていた。