吹きつける雨風の中、あの派手な船は、もう出港してしていた。
今はもう、水平線の近くで点のようになっている。
「お姉さん……」
もうできることが思いつかない……。
るつちゃんも顔をおおってしまった。
一体どうすれば……。
「お二人とも」
お姉さんの声がする。
幻聴が聞こえるなんて、この雨で風邪でも引いたかな。
「お二人とも、私は無事です」
「お姉さん!?」
お姉さんが海から顔を出してる。
どうして? 見世物小屋の人に連れていかれたって……。
夢の中なのに夢でも見てるの?
「人魚の仲間たちが助けてくれました」
お姉さんが言うには、波止場で私たちの話を聞いていた魚たちが人魚たちに伝え、みんなで助けに来たらしい。
天候が荒れたのはそのせいなんだとか。
「これからは海の仲間たちと暮らすのね」
「ええ、もう陸に上がることはないでしょう」



