庭でサルビアが笑ってる




「雷が落ちたのよ」



 るつちゃんに助け起こされて、私はようやくなにがどうなってるのかわかった。


 さっきまで私たちたちがいたお姉さんの家は、跡形もなく崩れてしまっている。近所からは何事かと人が集まってきた。



「運がよかったわね、玄関先にいたから助かったのよ」



 そっか。おばさんは家の中には入れてくれなかったから、間一髪でるつちゃんがかばってくれたんだ。


 ……待って、それはつまり。



「るつちゃん、るつちゃんこそケガは」


「平気よ、見ての通り」



 その場でるつちゃんはくるりと回ってみせた。少し汚れているだけで、本当にケガはなさそう。



「それより、波止場に戻りましょう」


「そうだね、まだ船が残ってるかも」



 私たちは大急ぎで路地を走った。どうか間に合いますように、と祈りながら。


 休まず走り、波止場まであと少し、というところで雨が頬を伝う。



「ああ、船が……!」