私たちは波止場の近くで船を眺めていた。
小さな船釣り用のボートに、私たちが乗るという定期船、それと……。
「きっとあれが見世物小屋の船だよ」
私が指をさした先には、とても派手で大きな船が泊まっていた。
きっとお客を集めるために、ああして華やかにしてるんだろう。
「どうにか止められないかしら」
るつちゃんは空を見上げた。
さっきまで晴れていた空は灰色の曇り空で、風も強くなってきている。
「お姉さんはああ言ってたけど、やっぱりだめだよ」
「人魚さんのご両親を説得して、どうにか思いとどまってもらえないかしら」
るつちゃんの提案に、賛成するように魚が跳ねた。
「やってみよう」
私はお姉さんの家がある方角を向いた。
わかってもらえなくても、できる限りのことをするしかない。
たとえ夢の中でも、こんな結末は後味が悪いし。



