こんな中じゃわかりっこない。
「るつちゃん、船が──」
出ちゃうんじゃない?
そう説得しようとしたら。
──グスッ、うぅ……。
はっきりと、誰かの泣き声が聞こえてきた。
るつちゃんも同じみたいで、私たちはどちらが注意するでもなく息を潜めた。
──うっ、うぅ。
苦しそうな泣きかたに、私まで辛くなる。
どこから聞こえるんだろう……。
キョロキョロと見回す私のそでを、るつちゃんが引っ張った。
「あそこ」
口パクと指さしで教えられた家からは、確かに泣き声が漏れてきている。
私たちはうなずき合うと、忍び足でその家の裏らしいところの窓からそっとのぞいてみた。
「!」
反射的に口を押さえてしゃがむ。
横を向くとるつちゃんも同じようにしていた。
「今のって」
「ねぇ」



