るつちゃんの顔には表情がない。
真っ暗な瞳のまま、自分の家族についてポツポツと話してくれた。
お父さんと二人暮らしだということ。
ある日、お仕事で遠くに行かなくてはならなくなったこと。
危険なお仕事なので、るつちゃんは連れていけなかったこと。
るつちゃんは一人で家のことを全部やらなくてはいけなかったこと。
「……やっぱり行ったほうがいいよ」
「璢音さん、ありがとう」
るつちゃんは無理やり笑顔を作る。
「家のことは任せてって、お父さんと約束してるの」
「だからって……」
そんな辛そうな顔して、今すぐにでも会いたいって泣き出しそうなのに。
どう説得したら……と悩んでいると、ある写真が目に入った。
「るつちゃん、るつちゃんのお母さんだったらどうする?」
「お母さん……」
るつちゃんの目が仏壇の写真に向けられた。



