私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

私たちはしばらく抱き合ったあと、
ゆっくりと体を離した。

「びしょびしょだね」

私が笑うと、

「誰のせいだと思っておる」

悠真は呆れたようにため息をついた。

「……悠真」

「違うだろ」

そう言って顔を見合わせると、
どちらからともなく笑い声がこぼれた。

悠真は地面に落ちていた傘を拾い上げ、
そっと私の頭の上に差した。

「もう、今さら意味ないって」

「そんなことはない」

「そうかなぁ」

「そうだ」

真面目な顔で言うものだから、
また笑ってしまう。

「なんか、前にもこんなことあったよね」

「ああ。二人ともずぶ濡れになった日だな」

「懐かしいね」

雨はまだ降り続いている。

でも、不思議と寒くはなかった。

私たちは肩を寄せ合いながら、
ゆっくりとアパートへの道を歩き始めた。