短い昼休憩を終え、
私たちはオフィスへ戻ってきた。
あと、半日頑張れば帰れる!
また、悠真の顔が浮かぶ。
これは病気なのか?
そう思うほど、悠真のことを考えてしまう。
私がそんなことを考えながら、
仕事をしていると、
「高瀬くん、ちょっといいいかな」
そう、ハゲ課長に呼ばれた。
「え、なに……」
「先輩、御愁傷様です」
「ちょっ」
結奈ちゃんが、私をからかってくる。
でも、そのおかげで、嫌な気分が少し和らいだ。
「な、なんでしょうか」
ハゲ課長の前に立つ。
「君、とんでもないミスをしてくれたね」
「え?」
「これだよ、これ」
そう、見せられたのは、見覚えのない資料だった。
「私、こんな資料知らないです」
「しらばっくれるな!」
突然、怒鳴られる。
周りが静かになる。
「私には、全く身に覚えがありません」
はっきりと言う。
しかし、課長は止まらない。
「この資料は、先週の金曜日までに、
取引先の会社に送らなければいけないものだった」
課長は大きな声で続ける。
「今日、取引先の会社から連絡が来てね。
資料が送られて来ていないから、
取引は無しにすると言われたんだぞ!」
「でも、私はこんな資料ーー」
「君のミスのせいで、
会社にどれだけ迷惑がかかったかわかっているのか?
上層部まで巻き込んでーー」
知らない。
私は、こんなの、知らないのに……
拳をギュッと握りしめながら、必死に耐える。
「高瀬くん、あとで社長室に行くように」
「そんな!私は――」
反論しようとした、その瞬間だった。
「それは高瀬さんの仕事ではありません」
静かな声が、オフィスに響いた。
一瞬で、空気が変わる。
振り返ると、
そこには一ノ瀬部長が立っていた。
冷たいほど整った表情。
けれどその目は、
真っ直ぐ課長を見据えている。
「君のミスを、他人に押し付けるなど、
言語道断。すぐに社長室へ行くように」
その言葉で課長が凍りつく。
「それと、今まで君が部下に押し付けていたミス、
全て把握さてもらった。社長からどんな処罰が下されるかは分からないが、覚悟したまえ」
「は、はい」
そう言うと、ハゲ課長は怯えながら、
社長室に向かって行った。

