私が拾ったのは、千年前の皇子でした


映画が終わると、自然に涙が出ていた。

恋愛映画で泣いたことなんてあったかな?

なんて、思いながら、
ティッシュに手を伸ばそうとした時だった。

視界に、涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになった、
悠真が入ってきた。

鼻水が垂れて、私の手につきそうになる。

「うわっ」

慌てて避ける。

そんなに、泣くほど良かったならいいけど。

私は、悠真にティッシュを渡す。

悠真は私の真似をして、
顔をティッシュで拭いている。

「どうだった?」

そう聞くと、悠真は私の両肩を掴み、

「我はとても感動した」

と、嬉しそうに言っていた。

感動したならよかった。

顔がぐしゃぐしゃでなければ、
さらによかったのだけど。

それから、私たちは何本か映画を見た。

私は映画を見るよりも、隣で楽しそうに、
映画を見ている悠真をみて、嬉しくなっていた。

気づけば夕方。

ぐぅ〜

悠真のお腹の音が鳴る。

そういえば、今日は何も食べていない。

「お腹すいちゃったね」

そう言って、キッチンへ向かう。

すると、悠真がやってきて、

「我にやらせてくれ」

と言い始めたのだ。

「は?危ないし、無理だよ」

私がそう言うと、

「さっきので、大体の料理の仕方は覚えた」

そう言って、包丁を持った。

「やめときなよ!」

私は慌てて止めようとする。

けれど悠真は、
まな板の上の野菜を、
迷いなく綺麗に切っていった。

一定の幅で揃えられた断面。

無駄のない手つき。

「……すご」

思わず声が漏れる。

悠真は少し得意そうに笑った。

「剣だけではなく、刃物の扱いには慣れておる」

……その発言だけ聞くと、ちょっと怖いけど。

それから私は、道具や機械の使い方を教えながら、
レシピを見て、一緒に料理をした。

悠真は本当に、頭がいい。

そして、器用だ。

これなら、任せられるかもしれない。