私が拾ったのは、千年前の皇子でした


私は、悠真の中で、気に入らないところがある。

それは、ロン毛だ。

「この顔には、これじゃないだろ」と、
言う感じなので、勇気を出して、
ヘアサロンに連れていくことにした。

流石に一人で行かせるのは、不安なので、
私も付き添いをする。

「今日はどんな髪型にしましょうか?」

美容師はそう、悠真に話しかける。

ここは、東京でも有名なヘアサロンなのだ。

「あの、彼、日本語分からないので、
私に言ってもらえれば大丈夫です」

そう言って、髪型の要望を伝える。

「かしこまりました」

そう言うと、美容師は躊躇なく、
髪の毛を切っていく。

悠真はその様子を、鏡越しにずっと見つめている。

なぜ、悠真が黙っているのかというと、
店に入る前に「なにも喋るな、動くな」と
言っておいたからである。

それを、しっかり守っている悠真も偉いのだが。

1時間ほどして、
ようやくカットが終わった。

「めっちゃいい……!」

私は思わず声を漏らした。

長かった黒髪はすっきりと整えられ、
額が見えたことで、
整った顔立ちがより際立っている。

元からイケメンだったのに、
さらに破壊力が増していた。

店を歩いていた女性客たちも、
ちらちらと悠真を見ている。

「よいではないか!そちは魔術師か何かなのか!?」

と、急に悠真が話始めた。

慌てて、口を塞ぎ、睨みつける。

「日本語わかんないんじゃ……それより魔術師?」

美容師さんは、なにが起きているのか分からない、
と言った様子だ。

「なんでも、ないです。気にしないでください」

そう言って、私はさっさとお会計を済ませ、
急いで家へと帰った。