私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

「千紘、悪かった」

悠真は私の周りを回りながら、
一生懸命、私と目を合わせようとしている。

私はそんな悠真の目線と合わないように、
姿勢や顔の角度を変えながら、逃げていた。

その様子を、私たちの家族は楽しそうに見つめている。

「許してあげなさいよ、千紘」

「絶対、いや」

「せっかくの大晦日なんだから、仲良くしなさい」

「大晦日?」

母の言葉に、悠真が首を傾げる。

まずい。

「大晦日」なんて言葉、当時もあったのかな。

「悠真くんは、大晦日を知らないの?」

「そのような呼び方は初めて聞きました。」

「じゃあ、お正月は?」

「新しい年を迎える祝いなら知っています」

その言葉に、家族全員がほっとした表情になる。

「よかった~」

母が胸をなで下ろす。

「ただ……」

悠真は少し考え込んだ。

「今の世のように、家族皆で集まり、これほど賑やかに過ごした記憶はありません」

部屋が静かになる。

「宮中では儀式が行われていました。皆、決められた作法に従って祝い、新しい年を迎えていたのです」

みんな、悠真の言葉に戸惑っている。

やばい!

「だから、このように笑いながら迎える正月は……初めてです」

そう言って悠真は、照れくさそうに笑った。

「じゃあ今年は、うちで初めてのお正月ね」

母が優しく微笑む。

「はい」

悠真も嬉しそうに頷いた。

ちょっと、まずい状況だったけど、
なんとか乗り切ることができてよかった。

私はほっとため息をついた。