私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

やっと飛行機から降りた私たちは、
松山市を観光してから実家へ向かうことにした。

「ここが今の伊予国か……」

悠真は空港を見回しながら、小さく呟く。

「いや、まだ空港だから」

思わずツッコむと、
悠真は少し照れくさそうに笑った。

空港からバスに揺られること三十分。

私たちは松山市の中心部へやってきた。

悠真と二人で観光をするのは、上野以来だ。

まず向かったのは松山城。

天守閣から見える街並みに、
悠真は目を輝かせていた。

「都とは全く違う景色だな」

「千五百年も経ってるからね」

次に向かったのは道後温泉。

歴史ある建物を見上げながら、

「ここも長い年月を生きてきたのだな」

と、悠真はどこか感慨深そうに呟いた。

その横顔を見ていると、この土地が悠真にとって特別な場所なのだと、改めて感じる。

私も久しぶりに帰ってきた故郷を懐かしく思っていた。

でも、不思議だった。

初めて来るはずの悠真は、まるで何かを探すように、時折立ち止まっては辺りを見渡している。

「どうしたの?」

私が尋ねると、

「……いや。」

悠真は静かに首を横に振る。

「懐かしいような、そうでもないような……不思議な気持ちになるだけだ。」