私が拾ったのは、千年前の皇子でした


信じがたいが、この男は、
やはり古墳時代からタイムスリップしてきたようだ。

なぜって?

今、テレビに張り付いて、

「この薄い箱の中に、どうやって、人間が入っているのだ!?」

と、騒いでいるからである。

いちいち説明するのが、めんどくさくて、
放っておいてはいるが、とにかく、テレビが見えん。

「はぁ……」

この男と出会って何回目のため息だろうか。

さっきだって、トイレの仕方を教えた。

それなのに、肝心な流す、
と言う行為が行われておらず、
私は不本意ながら、皇子の排泄物を見る羽目になった。

まぁ、他の場所にしてなかっただけマシだが……

って、うんこ見せられてる時点で、
マシもなにもないわ!

そう心の中で、自分にツッコミを入れていた。

しかし、この男はいつまで、いるのだろうか。

拾ってしまったために、捨てるわけにもいかない。

というか、こんなのを野放しにするわけにもいかない。

どうしたもんか……

そう私が悩んでいると、突然、
男の顔が目の前に現れた。

「っ……!」

椅子に座っていた私は、
驚いて後ろへ倒れそうになる。

「な、なにすんのよ!」

心臓がうるさい。

そんな私をよそに、
男は真っ直ぐ私を見つめたまま、

「やはり、我が愛しき妹にそっくりだ」

と静かに呟く。

その瞳は、
冗談を言っているようには見えなかった。

昨日見た夢を思い出す。

差し出された手。

“軽大娘”と呼ぶ声。

あれは、一体なんだったのだろう。