私が拾ったのは、千年前の皇子でした

はるか昔のお話。

時代は古墳時代に遡る。

天皇家に皇子として生まれた木梨軽皇子。

彼は聡明で心優しく、多くの人々から慕われる存在だった。

その姿は「次の天皇になる」とまで噂されるほど。

しかし――
彼には、誰にも言えない秘密があった。

彼が愛した女性。
それは実の妹、軽大娘皇女。

決して許されない、兄妹の恋。

幼い頃から共に過ごし、支え合ってきた二人にとって、惹かれ合うことはごく自然なことだった。

けれど、その想いはやがて宮中に知れ渡ってしまう。

人々は二人を激しく非難し、
さらに木梨軽皇子は皇位継承争いにも敗北。

都を追われ、遠い地へ流されることとなった。

愛する兄を失った軽大娘皇女は、
悲しみの中で決意する。

――たとえ全てを失っても、兄上のそばへ行きたい。

そして再会を果たした二人は、
誰にも祝福されない世界で、静かに寄り添った。

「来世では、どうか……」

叶わぬ願いを胸に、
二人は海へ身を投げ、その生涯を終えたという。

けれどこれは、悲劇で終わる恋ではない。

千年以上の時を越え、
二人は再び巡り会うことになる――。