記者会見が終わったあとも俺たちはしばらく控室に残っていた
全員が疲れ切っていたからだ
精神的にも、肉体的にも
ここ数日で何年分も消耗した気がする
それでも会見前とは少し違った
もちろん問題は何一つ解決していない
奏の疑惑も週刊誌も世間の声も
まだ終わっていない
でもほんの少しだけ希望が見えた
それだけでも大きかった
「今日は一旦解散しよう」
黒瀬さんがそう言った
「この後の対応は事務所でやる」
「何かあれば連絡するから、今日は休め」
休めと言われても休める気はしない
でも全員限界なのは確かだった
優朔が立ち上がる
「奏、大丈夫か」
「……はい」
声はまだ少し弱い
それでも昨日よりはマシだった
蒼依も奏の肩を軽く叩く
「なんかあったらすぐ電話して」
奏が少しだけ笑う
「…あぁ、さんきゅ」
俺はその光景を見ながら思う
まだ大丈夫だ
黒騎士はまだ壊れてない
きっと大丈夫だ
そう信じたかった
会場を出る
夕方の空
ビルの隙間から見える夕焼けが妙に綺麗だった
ここ数日空なんて見ていなかった気がする
車へ乗り込む
ようやく一人になった瞬間全身から力が抜けた
シートへ深く沈み込む
ふぅ……と息を吐く
会見中は必死だった
リーダーだから
弱い顔なんて見せられない
でも本当は怖かった
ずっと今も
スマホが震える
画面を見る
紗凪だった
『終わった?』
たったそれだけ
でも自然と笑ってしまう
『終わった』
そう返す
数秒後すぐに返信が来た
『お疲れさま』
『家で待ってるよ』
その文字を見た瞬間胸の奥がじわっと温かくなる
''待ってる''
たったそれだけなのに今の俺には何より救いだった
窓の外を見る
流れていく景色
会見場から離れるほど少しずつ張り詰めていたものが緩んでいく
そして思う
早く会いたい
紗凪に
ただそれだけだった
マンションへ着きエレベーターへ乗る
階数が上がるたび不思議なくらい足が軽くなる
本当に単純だと思う
でも仕方ない
今はもう紗凪がいる場所が俺の帰る場所だから
玄関の前に立つ
指紋認証
電子音
ガチャッ
ドアを開ける
その瞬間ふわっといい匂いがした
料理の匂い
そしてリビングから聞こえるテレビの音
日常の音
胸がぎゅっとなる
「ただいま」
そう声を掛ける
ぱたぱたと足音が聞こえた
振り返るとそこには紗凪がいた
「おかえり」
いつもの笑顔
何も変わらない
でもその顔を見た瞬間ようやく終わったんだと思った
いや正確には違う
戦いはまだ終わっていない
むしろここからだ
それでも今だけは
ほんの少しだけ
安心してもいい気がした
紗凪が俺の顔を見て少し眉を下げる
「……頑張ったね」
その一言で危うく泣きそうになった
本当に
この人はずるい
誰よりも
俺が欲しい言葉をくれるから
全員が疲れ切っていたからだ
精神的にも、肉体的にも
ここ数日で何年分も消耗した気がする
それでも会見前とは少し違った
もちろん問題は何一つ解決していない
奏の疑惑も週刊誌も世間の声も
まだ終わっていない
でもほんの少しだけ希望が見えた
それだけでも大きかった
「今日は一旦解散しよう」
黒瀬さんがそう言った
「この後の対応は事務所でやる」
「何かあれば連絡するから、今日は休め」
休めと言われても休める気はしない
でも全員限界なのは確かだった
優朔が立ち上がる
「奏、大丈夫か」
「……はい」
声はまだ少し弱い
それでも昨日よりはマシだった
蒼依も奏の肩を軽く叩く
「なんかあったらすぐ電話して」
奏が少しだけ笑う
「…あぁ、さんきゅ」
俺はその光景を見ながら思う
まだ大丈夫だ
黒騎士はまだ壊れてない
きっと大丈夫だ
そう信じたかった
会場を出る
夕方の空
ビルの隙間から見える夕焼けが妙に綺麗だった
ここ数日空なんて見ていなかった気がする
車へ乗り込む
ようやく一人になった瞬間全身から力が抜けた
シートへ深く沈み込む
ふぅ……と息を吐く
会見中は必死だった
リーダーだから
弱い顔なんて見せられない
でも本当は怖かった
ずっと今も
スマホが震える
画面を見る
紗凪だった
『終わった?』
たったそれだけ
でも自然と笑ってしまう
『終わった』
そう返す
数秒後すぐに返信が来た
『お疲れさま』
『家で待ってるよ』
その文字を見た瞬間胸の奥がじわっと温かくなる
''待ってる''
たったそれだけなのに今の俺には何より救いだった
窓の外を見る
流れていく景色
会見場から離れるほど少しずつ張り詰めていたものが緩んでいく
そして思う
早く会いたい
紗凪に
ただそれだけだった
マンションへ着きエレベーターへ乗る
階数が上がるたび不思議なくらい足が軽くなる
本当に単純だと思う
でも仕方ない
今はもう紗凪がいる場所が俺の帰る場所だから
玄関の前に立つ
指紋認証
電子音
ガチャッ
ドアを開ける
その瞬間ふわっといい匂いがした
料理の匂い
そしてリビングから聞こえるテレビの音
日常の音
胸がぎゅっとなる
「ただいま」
そう声を掛ける
ぱたぱたと足音が聞こえた
振り返るとそこには紗凪がいた
「おかえり」
いつもの笑顔
何も変わらない
でもその顔を見た瞬間ようやく終わったんだと思った
いや正確には違う
戦いはまだ終わっていない
むしろここからだ
それでも今だけは
ほんの少しだけ
安心してもいい気がした
紗凪が俺の顔を見て少し眉を下げる
「……頑張ったね」
その一言で危うく泣きそうになった
本当に
この人はずるい
誰よりも
俺が欲しい言葉をくれるから


