トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

「それでは定刻となりましたので、記者会見を開始いたします」

司会者の声が響く

そして

俺たちはゆっくり会見場へ足を踏み入れた

――バシャッ!!

――バババババッ!!

一瞬だった

無数のフラッシュが同時に光る

思わず目を細める

眩しい

まるでステージ照明みたいだ

でも全然違う

ライブの光は歓迎だ

今日の光は、俺たちを値踏みする光だった

会場には何十社もの報道陣

テレビカメラ

新聞社

週刊誌

ネットメディア

見渡す限り人で埋まっている

俺たちは席へ着く

左から優朔





蒼依

そして隣には宮城先生

奏の顔色は少し青い

黒瀬さんが最初に声明文を読み上げる

事務所としての見解

記事内容は事実無根であること

法的措置を含め対応すること

そして所属タレントを守ること

静まり返る会場

声明が終わる

そして

「それでは質疑応答へ移ります」

一斉に手が上がる

想像以上だった

「はい、そちらの方」

司会者が指す

立ち上がったのは全国紙の記者だった

「桜庭さんに質問です」

会場の視線が奏へ集まる

俺は無意識に拳を握る

「記事では女性が不同意だったと証言していますこれは事実ですか?」

一番最初から核心

奏が一度息を吸う

昨日何度も練習した

何度も

何度も

そして

「事実ではありません」

はっきり言った

声は震えていない

「記事に書かれているような行為は一切していません」

会場がざわつく

記者は続ける

「ではホテルへ行った事実は認めるのですね?」

「はい」

奏は頷いた

「ホテルへ行った事実はあります」

またざわつく

想定通りだ

記者はさらに踏み込む

「なぜホテルへ?」

奏は答える

「相手女性から相談を受けていましたプライバシーの観念から相談内容は言えませんが、安全確保を優先した結果です」

一言ずつ

慎重に

言葉を選びながら

すると別の記者が手を挙げる

「黒騎士の皆さんへ質問です」

「メンバーである桜庭さんの行動をどう受け止めていますか?」

俺がマイクを取る

喉が少し乾いている

「まず僕たちは奏を信じています」

会場が静かになる

「そして事実確認も行いました」

「記事内容にあるような行為はなかったと認識しています」

さらに質問が飛ぶ

「身内だから庇っているだけでは?」

嫌な質問

会場の空気も少し変わる

でも俺は表情を崩さない

「僕たちは長い時間を共に過ごしてきました奏の性格を1番よく知っているのは僕たちメンバーです」

「だからこそ信じています」

沈黙

数秒

その後また手が上がる

「もし記事が事実だった場合は?」

今度はもっと鋭い

蒼依の表情が一瞬動く

優朔も僅かに眉を寄せる

宮城先生がマイクを取った

「仮定の質問にはお答えできません」

淡々とした声

会場の空気が少し変わる

さすがプロだ

完全に流れを切った

でも嫌な質問は終わらない

「桜庭さんは女性関係が派手だったのでは?」

「アイドルとして自覚が足りなかったのでは?」

「今回スポンサー離れが起きた責任をどう感じていますか?」

一つ答えれば



また次

まるで波だ

終わらない

奏の顔色が少しずつ悪くなるのが分かる

でも踏ん張っていた

逃げない

震える手を膝の上で握り締めながら

必死に

その時だった

ある週刊誌記者が立ち上がる

会場の空気が変わる

そして

「桜庭さん」

ゆっくり口を開く

「被害女性は今も精神的苦痛を受けていると証言しています」

会場が静まり返る

記者は続けた

「それでもあなたは何もしていないと言い切れるんですか?」

――来た

今日一番重い質問が