トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

それからしばらくして

もう一度体温を測る

「38.0℃」

少しずつ下がってきている

まだ高熱の範囲ではあるけれど、昼間の39℃台を思えばだいぶ落ち着いてきた

「よかった」

私がそう言うと奏くんも少しだけ安堵したように息を吐いた

その後、お粥を温め直して持っていく

食欲はまだ戻っていないらしい

それでも数口

ゆっくり時間をかけながら食べてくれた

「えらい」

思わずそう言うと

奏くんが少し困ったように笑う

「子ども扱いっすよ」

「病人だから」

そう言うと

奏くんは珍しく小さく笑った

その笑顔に少しだけ安心する

すると向かいに座っていた陽貴くんが立ち上がった

「汗すごいし」

奏くんを見る

「シャワー浴びてくるか?」

その言葉に奏くんが一瞬だけ黙る

「……」

何かを言いかけた

でも

言葉を飲み込む

視線が少しだけ揺れる

きっと

まだ色々考えてしまうのだろう

一人になること

鏡を見ること

スマホを開いてしまうかもしれないこと

そんな不安が一瞬頭をよぎったのかもしれない

でも奏くんは小さく息を吐いて

「……シャワー借ります」

そう言った

陽貴くんが頷く

「着替え適当に使え」

「ありがとうございます」

少し掠れた声

それでもさっきよりはずっと落ち着いていた

奏くんは陽貴くんの服を借りると、そのまま浴室へ向かっていった

静かにドアが閉まる

部屋に再び静寂が戻った

私は奏くんが使った食器を片付けようと立ち上がる

すると後ろからふわりと腕が回された

「陽貴くん?」

振り返る間もなく

優しく抱きしめられる

広い胸

安心する匂い

力強い腕

少し驚いて見上げる

陽貴くんは私の肩へ額を預けた

「……ありがとな」

低くて優しい声

私は少し目を瞬く

「んーん」

小さく笑う

「なにもだよ」

本当にそう思った

私はただ看護師として

そして友達として

当たり前のことをしただけだ

陽貴くんは首を横に振る

「それでも」

少しだけ腕に力が入る

「ありがとう」

その声はどこか疲れていた

今日一日ずっと張り詰めていたのだろう

リーダーとして

仲間として

誰より冷静でいようとしていた

でも本当は陽貴くんだって苦しかったはずだ

私はそっと背中へ手を回す

「頑張ったね」

その一言に

陽貴くんの肩が少しだけ震えた気がした

「……まだ頑張らなきゃだけどな」

苦笑混じりの声

私は優しく笑う

「じゃあ今だけ休憩」

「5分だけ」

そう言うと

陽貴くんが小さく笑った

「短くない?」

そう言いながらも抱きしめる腕は離れない

私はその温もりに包まれながら思う

きっと明日も大変だ

まだ何も終わっていない

むしろこれからの方が苦しいかもしれない

それでも

今だけは

こうして支え合っていればいい

そう思った