その頼もしい言葉を引き継ぐように、蒼依が「はぁ〜〜〜っ」と大げさに天を仰いで、深く大きな息を吐き出した
「いや、マジで勘弁してほしいっすよ、ほんと」
自分の頭をごしごしと乱暴にかきむしる
「おかげでこっちまでストレスで胃がキリキリ痛い」
この地獄のような状況のなかで、それは少しだけ、いつも通りの生意気で愛らしい『黒騎士の最年少』の姿だった
「でも、まあ……奏がそんな卑劣なことする奴じゃないことくらい、ここにいる全員がとっくに分かってるから」
「俺たち、何年一緒に苦楽を共にしてきたと思ってんの。お前の無実は、俺たちが絶対証明してやるからさ」
奏はもう、言葉にならなかったのだろう
再び深く俯き、今度は声を殺してガタガタと激しく肩を震わせ始めた
その時、これまでずっと背後で静かに俺たちのやり取りを見守っていた紗凪が、そっと動き出した。
彼女はキッチンへと向かうと、慣れた手つきで冷たいミネラルウォーターをグラスに注ぎ、戻ってきた
そして、余計な慰めも掛け値もない動作で、奏のベッドサイドのテーブルへそっとそのグラスを置いた
「……少し、お水飲めそう?」
どこまでも穏やかで、包み込むような優しい声だった
奏は驚いたように濡れた顔を上げ、掠れた声で応じる
「はい……ありがとうございます……」
それ以上は、何も言わなかった
奏の軽率さを責めることもしなければ、過剰に同情して慰めすぎることもない
ただ、一人の医療従事者として、一人の味方として、静かにそこに寄り添っている
その凛とした後ろ姿を見つめながら、俺の胸の奥にも、確かな強さが灯るのを感じた
「いや、マジで勘弁してほしいっすよ、ほんと」
自分の頭をごしごしと乱暴にかきむしる
「おかげでこっちまでストレスで胃がキリキリ痛い」
この地獄のような状況のなかで、それは少しだけ、いつも通りの生意気で愛らしい『黒騎士の最年少』の姿だった
「でも、まあ……奏がそんな卑劣なことする奴じゃないことくらい、ここにいる全員がとっくに分かってるから」
「俺たち、何年一緒に苦楽を共にしてきたと思ってんの。お前の無実は、俺たちが絶対証明してやるからさ」
奏はもう、言葉にならなかったのだろう
再び深く俯き、今度は声を殺してガタガタと激しく肩を震わせ始めた
その時、これまでずっと背後で静かに俺たちのやり取りを見守っていた紗凪が、そっと動き出した。
彼女はキッチンへと向かうと、慣れた手つきで冷たいミネラルウォーターをグラスに注ぎ、戻ってきた
そして、余計な慰めも掛け値もない動作で、奏のベッドサイドのテーブルへそっとそのグラスを置いた
「……少し、お水飲めそう?」
どこまでも穏やかで、包み込むような優しい声だった
奏は驚いたように濡れた顔を上げ、掠れた声で応じる
「はい……ありがとうございます……」
それ以上は、何も言わなかった
奏の軽率さを責めることもしなければ、過剰に同情して慰めすぎることもない
ただ、一人の医療従事者として、一人の味方として、静かにそこに寄り添っている
その凛とした後ろ姿を見つめながら、俺の胸の奥にも、確かな強さが灯るのを感じた


