ホテルの部屋へ足を踏み入れた後も、俺の理性の警戒線だけは切れていなかった
フロントで買った未開封のミネラルウォーターを彼女に手渡し、俺自身はベッドから一番遠い壁際の椅子へと腰を下ろした
物理的な距離を保つ
それが、プロのアイドルとしての最低限の防衛策だと思っていたから
誓って、やましいことなんて何一つしていない
彼女の呼吸が落ち着き、一人で歩けるようになったら、すぐにでもこの部屋を出て行くつもりだった
「……体調、大丈夫?」
問いかけると、彼女は小さく深く頷いた
乱れていたはずの呼吸はいつの間にか静まり、血の気も戻り始めている
その様子を見て、俺は心の底から安堵した
けれど、その安堵こそが最大の油断だったのだ
それから、時計の針が二十分ほど進んだ頃だった
静寂に包まれていた部屋の中で、彼女がぽつりと、掠れた声で俺の名前を呼んだ
「……奏くん」
「ん? どうした?」
「私……」
彼女は少しだけ視線を落とし、微かに肩を震わせた
そして、次に紡がれた言葉に、室内の空気が一瞬で凍りつくのを感じた
「……ずっと、一人のファンとしてじゃなく、一人の男性として好きでした」
その瞬間、俺の脳内で最悪のアラートが鳴り響いた
「あー……」
思わず前髪を乱暴にかき上げる
嫌な予感しかしない、最悪の展開だ
「ごめん。……そういう気持ちには、応えられない」
曖昧な優しさは、かえって残酷になる
だからこそ、俺は一寸の迷いもなく、はっきりと拒絶の言葉を口にした
フロントで買った未開封のミネラルウォーターを彼女に手渡し、俺自身はベッドから一番遠い壁際の椅子へと腰を下ろした
物理的な距離を保つ
それが、プロのアイドルとしての最低限の防衛策だと思っていたから
誓って、やましいことなんて何一つしていない
彼女の呼吸が落ち着き、一人で歩けるようになったら、すぐにでもこの部屋を出て行くつもりだった
「……体調、大丈夫?」
問いかけると、彼女は小さく深く頷いた
乱れていたはずの呼吸はいつの間にか静まり、血の気も戻り始めている
その様子を見て、俺は心の底から安堵した
けれど、その安堵こそが最大の油断だったのだ
それから、時計の針が二十分ほど進んだ頃だった
静寂に包まれていた部屋の中で、彼女がぽつりと、掠れた声で俺の名前を呼んだ
「……奏くん」
「ん? どうした?」
「私……」
彼女は少しだけ視線を落とし、微かに肩を震わせた
そして、次に紡がれた言葉に、室内の空気が一瞬で凍りつくのを感じた
「……ずっと、一人のファンとしてじゃなく、一人の男性として好きでした」
その瞬間、俺の脳内で最悪のアラートが鳴り響いた
「あー……」
思わず前髪を乱暴にかき上げる
嫌な予感しかしない、最悪の展開だ
「ごめん。……そういう気持ちには、応えられない」
曖昧な優しさは、かえって残酷になる
だからこそ、俺は一寸の迷いもなく、はっきりと拒絶の言葉を口にした


