やがてゆっくり口を開く
「……あの街ロケのあと」
「あの女の人からDM来たんす」
黒瀬さんが眉を寄せる
あぁ、今はっきりとわかった
この顔を隠されてる写真の女の正体はあいつか
優朔の嫌な''勘''が当たったって訳だ
奏は震える指を握り締めながら続けた
「最初は普通だったんすよ」
『今日はありがとうございました』
『すごく楽しかったです』
そんな内容
「俺…そん時はDMも返してなくて」
「でも…何日か後に相談したいことあるって」
「相談?」
優朔が聞く
奏が頷く
「彼氏にDV受けてて…誰にも相談できないって……」
「精神的にかなりきつそうで」
奏は苦しそうに言葉を吐き出す
「……放っとけなかった」
その瞬間優朔がふぅと息を吐き静かに目を閉じた
多分全部理解したんだと思う
奏は昔からそうだ
優しい
でも
優しすぎる
「最初は普通にカフェで会う予定だったんす」
「でも向こうが“人に見られたくない”って」
「それでホテルのラウンジならって……」
黒瀬さんが険しい顔になる
奏も、自分で言いながら理解しているのだろう
それがどれだけ軽率だったか
「俺、ほんとバカで……」
掠れる声
蒼依が唇を噛む
奏は続ける
「途中から泣き出して……」
「過呼吸みたいになって……」
「部屋で少し休ませてほしいって言われて……」
そこまで言って
奏が俯く
「……部屋まで行った」
その瞬間
空気がさらに重くなる
でも奏はすぐ顔を上げた
「でもほんとに何もしてない!」
「少し落ち着くまでいて、そのあと帰ったんす!」
必死だった
その目を見れば分かる
嘘じゃない
それは絶対に信頼できる
少なくとも奏は“不同意性交”なんてしていない
でも問題はそこじゃない
世間は、“ホテルへ行った事実”だけを見る
黒瀬さんが低く言った
「……記事には、“身体を触られた”って証言も載る」
奏の顔色が変わる
「は……?」
「完全に否定したら、向こうは“被害者を黙らせるのか”って流れへ持っていく気だ」
最悪だった
あまりにも
蒼依が小さく舌打ちする
優朔は静かに奏を見る
そして低い声で言った
「奏」
「……はい」
「お前、“優しい”と“警戒心の無さ”を履き違えた」
鋭い言葉
でも
責めるというより
痛いほど真っ直ぐだった
奏が俯く
「……ごめんなさい」
その声が
あまりにも弱くて
俺は拳を強く握り締めた
黒騎士が
今、音を立てて崩れ始めていた
「……あの街ロケのあと」
「あの女の人からDM来たんす」
黒瀬さんが眉を寄せる
あぁ、今はっきりとわかった
この顔を隠されてる写真の女の正体はあいつか
優朔の嫌な''勘''が当たったって訳だ
奏は震える指を握り締めながら続けた
「最初は普通だったんすよ」
『今日はありがとうございました』
『すごく楽しかったです』
そんな内容
「俺…そん時はDMも返してなくて」
「でも…何日か後に相談したいことあるって」
「相談?」
優朔が聞く
奏が頷く
「彼氏にDV受けてて…誰にも相談できないって……」
「精神的にかなりきつそうで」
奏は苦しそうに言葉を吐き出す
「……放っとけなかった」
その瞬間優朔がふぅと息を吐き静かに目を閉じた
多分全部理解したんだと思う
奏は昔からそうだ
優しい
でも
優しすぎる
「最初は普通にカフェで会う予定だったんす」
「でも向こうが“人に見られたくない”って」
「それでホテルのラウンジならって……」
黒瀬さんが険しい顔になる
奏も、自分で言いながら理解しているのだろう
それがどれだけ軽率だったか
「俺、ほんとバカで……」
掠れる声
蒼依が唇を噛む
奏は続ける
「途中から泣き出して……」
「過呼吸みたいになって……」
「部屋で少し休ませてほしいって言われて……」
そこまで言って
奏が俯く
「……部屋まで行った」
その瞬間
空気がさらに重くなる
でも奏はすぐ顔を上げた
「でもほんとに何もしてない!」
「少し落ち着くまでいて、そのあと帰ったんす!」
必死だった
その目を見れば分かる
嘘じゃない
それは絶対に信頼できる
少なくとも奏は“不同意性交”なんてしていない
でも問題はそこじゃない
世間は、“ホテルへ行った事実”だけを見る
黒瀬さんが低く言った
「……記事には、“身体を触られた”って証言も載る」
奏の顔色が変わる
「は……?」
「完全に否定したら、向こうは“被害者を黙らせるのか”って流れへ持っていく気だ」
最悪だった
あまりにも
蒼依が小さく舌打ちする
優朔は静かに奏を見る
そして低い声で言った
「奏」
「……はい」
「お前、“優しい”と“警戒心の無さ”を履き違えた」
鋭い言葉
でも
責めるというより
痛いほど真っ直ぐだった
奏が俯く
「……ごめんなさい」
その声が
あまりにも弱くて
俺は拳を強く握り締めた
黒騎士が
今、音を立てて崩れ始めていた


