トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-

紗凪side

朝、7時12分

カーテンの隙間から差し込む柔らかな光が、ゆっくり部屋を照らしていく

それなのに私は未だ、ベッドから出られずにいた

「……もう離して!仕事行かなきゃ」

「んーん、まだだめ」

背中へ回された腕が、さらにぎゅうっと強くなる

「陽貴くん……!」

「あと5分」

「それ15分前も聞いた」

「じゃあ今回は本当の5分」

「…ほんとに…もう」

思わず呆れた声が出る

それでも背中へぴったり張りつく体温が心地よすぎて、本気で振りほどけない自分もいた

私の後ろで、不満そうに小さく唸る男

佐野陽貴

国民的人気アイドルグループ『黒騎士』のリーダーであり、“絶対的センター”なんて呼ばれている人

ステージの上では完璧な王子様

甘い笑顔に、圧倒的カリスマ性

ファンを一瞬で虜にしてしまう天才

……なのに

家では、驚くほど甘えん坊

「紗凪が悪い」

「なんで?」

「かわいいから」

ずっとこんな調子

しかも寝起きの掠れた声で言うから、余計に心臓へ悪い

私は思わず顔をしかめる

「朝からそういうのやめて」

「照れてる?耳赤いよ」

「見ないで」

くすっと後ろで笑う声

ほんとずるい

私は小さく息を吐きながら、視線を時計へ向けた

あと30分で出勤

今日もICUは朝から重症入室予定が入っている

ここ最近はフライト待機も増えていて、正直かなり忙しい

それでもこうして朝を迎えられる日常が、今はすごく愛おしかった